日本財団 図書館


 

マニュアルにいたる様々な情報を電子データ化することによって、ペーパーレスを実現するために誕生した。

CALSの実現へのアプローチとして、国防総省では先ず情報交換システムの標準化を進め、技術マニュアル、設計図等の文書や図面をデジタルデータ化し紙のフローからデータのフローへの移行を図った。その後、さらにこうしたデータを整理・加工し、統合データベースを構築することによって、政府側と契約企業側とが相互に情報を共有できる仕組みを確立することとした。国防総省で始まったCALSも、その後、あらゆる産業にとって高度情報化を達成する革新的コンセプトであり、産業競争力の切り札になるとの判断から、連邦政府全体で取り組むことになった。したがって、CALSの概念は、「政府・企業が調達する製品やシステムに関する企画、開発、調達から設計、製造、運用、保守(改造)、教育、廃棄にいたるライフサイクルを通じて、使用する文書データや図面情報の統合化されたデータ環境を整備し、取引情報および技術情報を調達・供給双方の間で共有する」と幅広くとらえられている。

わが国では、CALSを推進する組織として、1995年に通商産業省主導にる「CALS技術研究組合(NCALS)」が、また民間側窓口として「CALS推進協議会(CIF:CALS Industry Forum)」がそれぞれ発足し、官民あげての推進体制が整っている。なお、1996年4月に発表された同省の「企業間高度電子商取引推進事業」では1O件のCALS実証実験が採択された。

これを契機に各業界ではCALSの研究に取り組み始めたが、中でも1996年5月に発足した主要な自動車メーカと部品メーカが結集した、自動車業界のCALS推進組織「V−CALSコンソーシアム」が、最も先進的かつ実務的プロジェクトとされる。

CALSの目標は、中小企業から大企業にいたる産業界および官庁に対し、製品の調達、設計、製造、流通、サービスに関する情報をデジタル環境下でリアルタイムに提供できる統合データベースの構築・整備にある。データを統合するには、様々な分野の情報に対し共通のインターフェイスが用意されることが重要となる。つまり、3次元CADを含む製品モデル・データの交換規格であるSTEP(Standard for The Exchange of Product Model Data)、ビデオ、文書規格等のSGML(Standard Generalized Mark−up Lnaguage)さらに通信プロトコルなどの標準化を実現しなければならない。このため、(財)日本情報処理開発協会では、STEP推進センターを通じ、こうした標準化活動に取り組んでいる。

 

 

 

前ページ   目次へ   次ページ

 

 






日本財団図書館は、日本財団が運営しています。

  • 日本財団 THE NIPPON FOUNDATION